Classici giapponesi con furigana
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おんなとぼうし
女と帽子
豊島 与志雄
Leggi 女と帽子 (おんなとぼうし) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 16.614 caratteri · 33 schermate
人家の燈火、行きちがう車馬、あとはただ暗い夜空だけだった。今村はじっと眼をつぶっているし、波江の眼はいつまでも見開かれて、外に向けられていた。その眼に、ちらちらと燈火のかげがさして、淋しく美しく、涙ぐんでさえいるように見える。俺も柄になくしんみりした気持になって、波江の心にちょっとふれてみたく、その心窩を擽ってやったのである。すると――
今晩は、外のことはみんな忘れて、あの時のことだけを、じっと考えていたいのです。そしてあの続きの夢としたいのです。丁度、お盆の十五日の晩、私達二人きりで、薄暗い海岸を歩いて、燈籠流しを見物しました。板の上に四方を紙で張った、小さな行燈みたいなものを拵え、中に蝋燭をともして、波打際から、沖へ押し流すのです。大家で新仏のあるところでは、舟を仕立てて幾十もの行燈みたいなものを、沖の方に浮べ流すのです。それが、湾内の静かな海の上にゆらゆらと浮いて、波頭にもその火がちらちら映って、とても綺麗です。
穏かな晩でした。月は、雲にかくれていたか、それとも出ていなかったか、海岸は薄暗く、そして一面にぼーっとして、かすかな微風がそよそよと吹いてるきりでしたが、夜の浜辺は涼しく爽かでした。