Classici giapponesi con furigana
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おんなひゃっかてん
女百貨店
吉行 エイスケ
Leggi 女百貨店 (おんなひゃっかてん) di 吉行 エイスケ (よしゆきえいすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 9787 caratteri · 20 schermate
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一刻後、太田ミサコはタクシーのクッションにもたれて官省広場の並木道を疾走していた。大島のかさねを黒いコートでつつんで、リスの毛皮を左乳に垂らした、頬紅をささない蒼白な厚化粧の女が、いつも一点をみつめ前後の気配を感ずる都会の女の乗った車が、中央九番街のクロス・ワード模様の東洋銀行のまえで停止すると、彼女のフェルトの草履が石畳を踏んで衣服の黒い裾裏が地上を流れる風にはねかえった。
ミサコが廻転扉から出納口につかつかと進むと、コケットな彼女の嬌態に狼狽した行員が自覚を失った指先で紙幣をかきあつめた。奥の大卓子の支配人が彼女にかるく会釈をかえした。一枚の小切手が一かたまりの紙幣となって出納口からでてくると、銀行を背負ったような女は、ふたたび銀座方面へガソリンの尾を曳いた。彼女の傲がんなこころがすこしの反省もなく、イズモ町の彼女経営の流行品店を素通りして、築地河畔のコルビジェ風のアパートメントの一室を訪れた。雑誌『流行』の宣伝部長のカリタは、ミサコを自室に案内すると、隣室の同棲者に三人の食事を云いつけた。
ミサコはお互の少時間の自由を、対岸を流れる濁水に眼をうつして云った。