Classici giapponesi con furigana
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こうじんぶつ
好人物
佐々木 邦
Leggi 好人物 (こうじんぶつ) di 佐々木 邦 (ささきくに) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 52.609 caratteri · 107 schermate
と八千代さんは笑っている。
「あなたのお陰で到頭苦労が一つ殖えましたのよ」
と細君はこの余計なことで思い出したように訴えた。
「何が?」
「到頭生れたんですよ」
「生れた? 何匹?」
「七匹ですよ。先刻お里が見つけたんです。これだから私、女犬は厭やだと初めから申上げたじゃありませんか?」
「今更仕方がない。育てるさ」
「皆好い毛並みで可愛いのよ」
と八千代さんはもう見て来ている。
「何処です? 物置?」
と千吉君は膝を立てた。
「いけませんよ、御飯を食べかけて。あなたはまるで子供のようね」
と細君は悉皆良人を支配している。
「皆男だと宜いがなあ」
「然うは参りませんわ」
「何方が多い?」
「未だよくわかりませんのよ。ポチが怒って寄せつけないんですもの」
「何方でも宜いや。子供がないから犬でも育てるさ」
と千吉君は大きく出た。この子供がないからというのは千吉君に取って最も有力な武器である。これを言われると細君は直ぐに黙ってしまう。尤もこの際は相手の口を封じる為めでなく、自ら慰める為めに利用したので、その証拠には口の下から、
「七匹だね?」
と念を押した。七疋を内心尠からず苦に病んでいるのである。