Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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こうい

好意

豊島 与志雄

Leggi 好意 (こうい) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 20.059 caratteri · 40 schermate

Aozora Bunko

気がついてみると、私は何とも云えない消え入りたいような思いに沈んで、戸外の虫の声に聞き入っていた。

長い時間がたった。病室の中は静まり返って、人声も物音もしなかった。遂に敏子さんが足音を偸んで出て来て、私を母屋の玄関の方へ連れ出してくれた。

「済みませんでした。」と私は云った。

「いいえ、私こそ。」

そして敏子さんは泣きたそうな顔をして俯向いてしまった。

「事情は大体分りました。何でもないことです。明日また参ります。あなたはなるべく側についてて上げて下さい。」

云い捨てて私は外に出た。空の明るい晩だった。暫く歩いてるうちに気分が静かに落付いてきた。敏子さんに何とも話さず出て来たことが気になって、よほど引返そうとしたけれど、思い直して歩き続けた。

その晩私は街路を長い間歩きながら、いろんなことを考え廻した。然しそれは私一個のことだから凡て省略しよう。そして結局私は、吉岡の心が想像以上に深い所へ落込んでることを知り、また自分にも或る責任がかかってることを感じて、一種の解決案を思いついたのである。――いろんなことを突っつけば突っつくほど、問題は益々こんがらかってゆくばかりだから、いっそ問題の初めに溯って、その一つを解く方がよい。