Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ようじゅつ

妖術

泉 鏡花

Leggi 妖術 (ようじゅつ) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 10.293 caratteri · 21 schermate

Aozora Bunko

やがて、心着くと標示は萌黄で、この電車は浅草行。

一帆がその住居へ志すには、上野へ乗って、須田町あたりで乗換えなければならなかったに、つい本町の角をあれなり曲って、浅草橋へ出ても、まだうかうか。

もっとも、わざととはなしに、一帳場ごとに気を注けたが、女の下りた様子はない。

で、そこまで行くと、途中は厩橋、蔵前でも、駒形でも下りないで、きっと雷門まで、一緒に行くように信じられた。

何だろう、髪のかかりが芸者でない。が、爪はずれが堅気と見えぬ。――何だろう。

とそんな事。……中に人の数を夾んだばかり、つい同じ車に居るものを、一年、半年、立続けに、こんがらかった苦労でもした中のように種々な事を思う。また雲が濃く、大空に乱れ流れて、硝子窓の薄暗くなって来たのさえ、確とは心着かぬ。

が、蔵前を通る、あの名代の大煙突から、黒い山のように吹出す煙が、渦巻きかかって電車に崩るるか、と思うまで凄じく暗くなった。

頸許がふと気になると、尾を曳いて、ばらばらと玉が走る。窓の硝子を透して、雫のその、ひやりと冷たく身に染むのを知っても、雨とは思わぬほど、実際上の空でいたのであった。