Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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うばすて

姥捨

太宰 治

Leggi 姥捨 (うばすて) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.853 caratteri · 29 schermate

Aozora Bunko

はね起きて、すぐまた、寒い寒いを言いながら、下のひとに、お酒をたのんだ。

「さあ、もう起きるのだよ。出発だ。」

かず枝は、口を小さくあけて眠っていた。きょとんと眼をひらいて、

「あ、もう、そんな時間になったの?」

「いや、おひるすこしすぎただけだが、私はもう、かなわん。」

なにも考えたくなかった。はやく死にたかった。

それから、はやかった。このへんの温泉をついでにまわってみたいからと、かず枝に言わせて、宿を立った。空もからりと晴れていたし、私たちはぶらぶら歩いて途中のけしきを見ながら山を下りるから、と自動車をことわり、一丁ほど歩いて、ふと振りむくと、宿の老妻が、ずっとうしろを走って追いかけて来ていた。

「おい、おばさんが来たよ。」嘉七は不安であった。

「これ、なあ、」老妻は、顔をあからめて、嘉七に紙包を差し出し、「真綿だよ。うちで紡いで、こしらえた。何もないのでな。」

「ありがとう。」と嘉七。

「おばさん、ま、そんな心配して。」とかず枝。何か、ふたり、ほっとしていた。

嘉七は、さっさと歩きだした。

「おだいじに、行きなよ。」

「おばさんもお達者で。」うしろでは、まだ挨拶していた。