Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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うばすて

姥捨

太宰 治

Leggi 姥捨 (うばすて) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.853 caratteri · 29 schermate

Aozora Bunko

嘉七は、それを取りあげて、

「薬のことは、私でなくちゃわからない。どれどれ、おまえは、これだけのめばいい。」

「すくないのねえ。これだけで死ねるの?」

「はじめのひとは、それだけで死ねます。私は、しじゅうのんでいるから、おまえの十倍はのまなければいけないのです。生きのこったら、めもあてられんからなあ。」生きのこったら、牢屋だ。

けれどもおれは、かず枝に生き残らせて、そうして卑屈な復讐をとげようとしているのではないか。まさか、そんな、あまったるい通俗小説じみた、――腹立たしくさえなって、嘉七は、てのひらから溢れるほどの錠剤を泉の水で、ぐっ、ぐっとのんだ。かず枝も、下手な手つきで一緒にのんだ。

接吻して、ふたりならんで寝ころんで、

「じゃあ、おわかれだ。生き残ったやつは、つよく生きるんだぞ。」

嘉七は、催眠剤だけでは、なかなか死ねないことを知っていた。そっと自分のからだを崖のふちまで移動させて、兵古帯をほどき、首に巻きつけ、その端を桑に似た幹にしばり、眠ると同時に崖から滑り落ちて、そうしてくびれて死ぬる、そんな仕掛けにして置いた。まえから、そのために崖のうえのこの草原を、とくに選定したのである。