Classici giapponesi con furigana
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おんなけいず
婦系図
泉 鏡花
Leggi 婦系図 (おんなけいず) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 172.760 caratteri · 343 schermate
手洋燈を摺らして出したが、灯が低く這って届かないので、裏が紺屋の物干の、破子の下に、汚れた飯櫃があった、それへ載せて、早瀬が立って持出したのを、夫人が伸上るようにして、霑をもった目を見据え、現の面で受取ったが、両方掛けた手の震えに、ぶるぶると動くと思うと、坂になった蓋を辷って、呀と云う間に、袖に俯向いて、火を吹きながら、畳に落ちて砕けたではないか! 天井が真紫に、筵が赫と赤くなった。
この明で、貞造の顔は、活きて眼を開いたかと、蒼白た鼻も見えたが、松明のようにひらひらと燃え上る、夫人の裾の手拭を、炎ながら引掴んで、土間へ叩き出した早瀬が、一大事の声を絞って、
「大変だ、帯に、」と一声。余りの事に茫となって、その時座を避けようとする、道子の帯の結目を、引断れよ、と引いたので、横ざまに倒れた裳の煽り、乳のあたりから波打って、炎に燃えつと見えたのは、膚の雪に映る火をわずかに襦袢に隔てたのであった。トタンに早瀬は、身を投げて油の上をぐるぐると転げた。火はこれがために消えて、しばらくは黒白も分かず。阿部街道を戻り馬が、遥に、ヒイインと嘶く声。戸外で、犬の吠ゆる声。