Classici giapponesi con furigana
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おんなけいず
婦系図
泉 鏡花
Leggi 婦系図 (おんなけいず) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 172.760 caratteri · 343 schermate
直ぐ分った。
本名坂田礼之進、通り名をアバ大人、誰か早口な男がタの字を落した。ゆっくり言えばアバタ大人、どちらでもよく通る。通りが可ければと言って、渾名を名刺に書くものはない。手札は立派に、坂田礼之進……傍へ羅馬字で、L. Sakata.
すなわち歴々の道学者先生である。
渠の道学は、宗教的ではない、倫理的、むしろ男女交際的である。とともに、その痘痕と、細君が若うして且つ美であるのをもって、処々の講堂においても、演説会においても、音に聞えた君子である。
謂うまでもなく道徳円満、ただしその細君は三度目で、前の二人とも若死をして、目下のがまた顔色が近来、蒼い。
と云ってあえて君子の徳を傷けるのではない、が、要のないお饒舌をするわけではない。大人は、自分には二度まで夫人を殺しただけ、盞の数の三々九度、三度の松風、ささんざの二十七度で、婚姻の事には馴れてござる。
処へ、名にし負う道学者と来て、天下この位信用すべき媒妁人は少いから、呉も越も隔てなく口を利いて巧く纏める。従うて諸家の閨門に出入すること頻繁にして時々厭らしい! と云う風説を聞く。その袖を曳いたり、手を握ったりするのが、いわゆる男女交際的で、この男の余徳であろう。