Classici giapponesi con furigana
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よめとりむことり
嫁取婿取
佐々木 邦
Leggi 嫁取婿取 (よめとりむことり) di 佐々木 邦 (ささきくに) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 85.654 caratteri · 175 schermate
次に全く別方面から来た縁談が大分長びいた。山下さんの註文通り帝大出だったが、席次はビリから数える方が早い。マラソンの選手だそうだけれど、そんなことは出世の足しにならない。しかし金持の次男坊で長男が極く丈夫な上に、世帯を持てば、可なり分けて貰う約束がある。妹は子爵家へ片付いている。山下夫人はこの辺が悉くお気に召した。但し風采は余り好くない。少し藪睨みだ。
「このお写真は光線の具合で少し変になっていますが、お見合をなされば、必ず御疑問が晴れます」
と仲人は初めからその点を弁解していた。
「何う? 春子」
とお母さんは時々促した。
「私、もう少時考えさせて戴きますわ」
「俸給も好いじゃありませんか? 百二十円にボーナスがそれ丈けなら二百四十円よ」
「俸給にも私、疑問がございますわ」
「何うして?」
「卒業してから三年ばかりでそんなに取れる筈はありませんわ」
と春子さんは用心深い。
「でも渋沢系の会社よ。渋沢さんと御親類ですからね」
「もっと延す方が宜いよ。見合をすると責任になる」
とお父さんは成績が気に入らない上に、仲人に疑問がある。年来の交際ではない。無論相応の身分らしいが、出入の呉服屋の得意先という丈けで、素性が聢と分らない。