Classici giapponesi con furigana
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きせつのないまち
季節のない街
山本 周五郎
Leggi 季節のない街 (きせつのないまち) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 201.379 caratteri · 394 schermate
それから二つのバケツに水を汲んで帰る、というのが日課の始まりで、これは季節や天候に左右されることなく、毎日きちんとおこなわれた。
極めて稀に、井戸端で人といっしょになることがある。
「お早う」と相手が呼びかける、「いつも早いね、半助さん」
すると半助はたちまち肩をすぼめ、卑屈におじぎをしながら、相手のきげんをとるように、おどおどと返辞をするやいなや、二つのバケツをさげて、自分の家のほうへ小走りに去るのであった。
半助の生活はとらと呼ぶ飼い猫とだけ、密接につながっていた。とは云っても、特に変ったところがあるわけではない。一般に猫好きとか犬好きとかいわれる人たちの中には、常識はずれな例が少なくないが、それらの人たちに比べると、半助ととらの関係は極めて平凡な、ありふれたものにすぎなかった。――ただ人づきあいをしない半助が、とらとだけは話をしたり、いっしょにめしを喰べたり、共寝をしたりするところに、「密接」なつながり、という感じがするのであった。
朝はやく、夏でも暗いうちに半助は眼をさます。
「とら公」と半助は呼びかける、「そろそろ起きようかね」
掛け夜具の裾のほうで、まるくなって寝ているとらが、眼をあいて主人のほうを見る。