Classici giapponesi con furigana
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ほうえいふんか
宝永噴火
岡本 かの子
Leggi 宝永噴火 (ほうえいふんか) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 31.505 caratteri · 62 schermate
須走村では禰宜の大和家に火の玉が落ち、それから村一統も焼払われたという噂なぞ聞えて来た。
この災害を蒙って若し死なば富士諸共だ。灰、石の降る中に在って慧鶴の覚悟はだんだんこういう風に神秘化して来た。これほど子供のうちより心の繋りを持つ富士が、自分が死んで、やみやみ後に安泰で残る筈がない。自分が死ぬときは、あの巨大な土塊も潰滅の時だ。強くそう思えて来た。するとこの富士と自分との関係は二十年という短いものではなく、彼女が噴火を停めて以来の関係のように思われて来た。それは五百年も昔からだ。五百年という永い歳月の間に自然だとて不平不満がない筈はない。その鬱積がいまここに火を噴くのだ。人間だとて同じことだ。この五百年の間に皮相な慾望で塗り籠められた人間の久遠の本能慾が、どうして鬱積せずにいるものぞ。それを担って生れたのが自分なのだ。五百年の自然の不平の犠牲者であるかの富士、五百年の人間の不満の犠牲者である自分。二つのものは結局一つの使命の為めに一致しているように感じられた。久遠の真実、覆い難い慾望、人間として、火も焼く能わず水も溺らすことの出来ない肉身を得ん為めの願いを再びこの現実の天地に取戻さん為めにここに叫び叫ぶもののように思えて来た。