Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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いえ

家

島崎 藤村

Leggi 家 (いえ) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 126.748 caratteri · 254 schermate

Aozora Bunko

朝晩は羽織を欲しいと思うように成ったのも、間もなくであった。暑中休暇を送りに来た人達もそろそろ帰仕度を始た。九月に入って、お福は東京の学校へ向けて発った。

直樹が別れて行く日も近づいた。浅間登山の連があって、この中学生も一行の中に加わって出掛けた。丁度三吉は午前だけ学校のある日で、課業を済まして門を出ると、曾根の宿を訪ねてみたく成った。折角知人が同じ山の上に来ている。この人の帰京も近づいたろう。病気はどうか。こう思った。彼の足は学校から直に停車場の方へ向いた。

上りの汽車が来た。

午後の一時過には、三吉は汽車の窓から浅間の方を眺めて、直樹のことを想像しながら行く人であった。濃い灰色の雲は山の麓の方まで垂下って来ていた。

高原の上はヒドい霧であった。殆んど雨のような霧であった。停車場から曾根の宿まで、道は可成有る。古い駅路に残った旅舎へ着いた時は、三吉が学校通いの夏服も酷く濡れた。

曾根が借りている部屋は、奥の方にある二階の一室で、そこには女ばかり三四人集っていた。孀暮しをしつけた人達は、田舎の旅舎へ来ても、淋しい男気のない様子に見えた。いずれも煙草一つ服まないような婦人の連で、例の曾根の親戚にあたるという人は見えなかったが、肥った女学生は居た。