Classici giapponesi con furigana
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いえ
家
島崎 藤村
Leggi 家 (いえ) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 126.748 caratteri · 254 schermate
三吉も少年の時代には、よく人に随いて、この巣を探しに歩いたものである。
「母親さん、写真屋が来ましたから、着物を着更えて下さい」
こう正太がそこへ来て呼んだ。
「写真屋が来た? それは大多忙だ。お仙――蜂の子はこうして置いて、ちゃっと着更えまいかや。お春、お前も仕度するが可い」とお種は言った。
「嘉助――皆な写すで来いよ」達雄は店の方を見て呼んだ。
記念の為、奥座敷に面した庭で、一同写真を撮ることに成った。大番頭から小僧に至るまで、思い思いの場処に集った。達雄は、先祖の竹翁が植えたという満天星の樹を後にして立った。
「女衆は前へ出るが可い」
と達雄に言われて、お種、お仙、お春の三人は腰掛けた。
「叔父さん、貴方は御客様ですから、もうすこし中央へ出て下さい」
こう正太が三吉の方を見て言った。三吉は野菊の花の咲いた大きな石の側へ動いた。
白い、熱を帯びた山雲のちぎれが、皆なの頭の上を通り過ぎた。どうかすると日光が烈しく落ちて来て、撮影を妨げる。急に嘉助は空を仰いで、何か思い付いたように自分の場処を離れた。
「嘉助、何処へ行くなし」とお種は腰掛けたままで聞いた。
「そこを動かない方がいいよ――今、大きな雲がやって来た。