Classici giapponesi con furigana
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ふじ
富士
岡本 かの子
Leggi 富士 (ふじ) di 岡本 かの子 (おかもとかのこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 40.579 caratteri · 82 schermate
「こんなに痩せ細ってしまって、この先どうするのだろう。私はともかくこうして二十七まで生きたんだから、もう死んでもいいのだと思うのだが。一日々々と醜く苦しませないで早く死なせて貰いたい。丈夫な時には、希望も、歓楽も、恋もあったが、病気になってみれば何にもない。死ねばどうなるのか私はそれを知らない。病が苦しいから死のうと思うだけだ」
「蛙の声が穴の中まで聞えて来る。外は春なのだなあ。蛙よ、唄ってくれ唄ってくれ。私はお前の唄に聞き惚れつつ、さまざまな思い出の中に眠るのが今はたった一つの楽しみなのだ。死というものの状態に似ているらしい眠りに就くことが……」
その声は妙に水無瀬女の心に染みた。この時代に在っては、およそ生きとし生けるもので、生こそは欲すれ、死を望むことはいかなる条件の代償を得るにもせよ心に無いことだった。従ってその声のいうところは女に珍らしかった。女は、ここにも女神のために出来た奇妙な怪我人が一人いるのかと、久振りに伯母に対する義憤を催して、弟はその辺の狩に出し遣り、自分は洞穴の中へ入って行った。
弟が用意して呉れた僅な松明の灯を掲げて、女は洞穴の中へ入って行った。