Classici giapponesi con furigana
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さむはし
寒橋
山本 周五郎
Leggi 寒橋 (さむはし) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.416 caratteri · 36 schermate
「――お父つぁんが、そう云ったのか、お父つぁんが、おたみの産む子は、……お父つぁんの子だって」
「あんた、堪忍して」
お孝は良人の胸にしがみついて、ふるえながら頬を良人の胸にすりつけた。
「あたし自分のことしか考えなかった。可愛がられることばかり思って、あんたの身になってみる気がなかったの、お父つぁんがそ云ったわ、……人間は弱いもんだって、夫婦はお互いに許しあい、劬り助けあってゆくもんだって、……あたしようやく大人になったような気がするの、おたみのことがもしあんたのまちがいだったとしても、こんどは、その半分はあたしの責任だと思うことができるわ、ねえ、……あたしこれからいい妻になってよ、だから堪忍して、……これまでのことは堪忍して頂戴」
そうして甘く噎びあげるお孝を、時三は黙って抱き緊め、その頬へ自分の頬を押しつけた。涙に濡れて火のように熱い頬である、時三は眼をつむり、抱いた妻の躯を、子供でもあやすように、静かに揺すった。
「おたみが子を産んだら、うちへ引取って育てさせてね、……あんたには済まないけれど、あんたの子にして、……そうすれば、貰い子をすれば、子供が出来るというから、あたしにも赤ちゃんが出来るかもしれないわ」