Classici giapponesi con furigana
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えいがじだい
寺田寅彦随筆集 第二巻
寺田 寅彦
Leggi 寺田寅彦随筆集 第二巻 (えいがじだい) di 寺田 寅彦 (てらだとらひこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 207.099 caratteri · 419 schermate
少し霧のかかった日はいっそう美しい。
邦楽座わきの橋の上から数寄屋橋のほうを、晴れた日暮れ少し前の光線で見た景色もかなりに美しいものの一つである。川の両岸に錯雑した建物のコンクリートの面に夕日の当たった部分は実にあたたかいよい色をしているし、日陰の部分はコバルトから紫まであらゆる段階の色彩の変化を見せている。それにちりばめた宝石のように白熱燈や紅青紫のネオン燈がともり始める。
白木屋で七階食堂の西向きの窓から大手町のほうをながめた朝の景色も珍しい。水平に一線を画した高架線路の上を省線電車が走り、時に機関車がまっ白な蒸気を吐いて通る。それと直交し弓なりに立って見える呉服橋通りの道路を、緑色の電車のほかに、白、赤、青、緑のバスが奇妙な甲虫のようにはい上りはいおり行きちがっている。遠くにはお城の角櫓が見え、その向こうには大内山の木立ちが地平線を柔らかにぼかしている。左のほうには小豆色の東京駅が横たわり、そのはずれに黄金色の富士が見える。その二つの中間には新議会の塔がそびえている。昔はなかったながめである。百年前に眠ったままで眠り通し、そうして今この窓で目ざめたとしたら……。