Classici giapponesi con furigana
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ろうじゅうのめがね
小笠原壱岐守
佐々木 味津三
Leggi 小笠原壱岐守 (ろうじゅうのめがね) di 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 57.249 caratteri · 115 schermate
――こんどはきっと……。こうしてさしあげたらいいでしょう」
ささやくように言い乍ら近寄って、突然、軟らかく平七の手を握りしめたかと思うと、リンリンと簪を鳴らし乍ら、逃げるように門の中へ駈けこんでいった。
二階へあがって、見送ってでもいるらしく、顔のみえない窓から、同じ簪の音がかすかにリンリンときこえた。
三
「平七。――これよ、平七平七」
「…………」
「毎日毎日耳の遠い奴じゃな。平七はどこじゃ。平はおらんか!」
あくる日の夕方、また有朋が、とげとげしい声で奥から呼び立てた。
庭へ廻れというだろうと思って待っていたのに、しかし、どうしたことか、きょうは、その庭の向うから、下駄の音が近づいて来たかと思うと、声と同じように尖った顔がひょっこりとのぞいた。
「なんじゃ。また靴を磨いておるのか」
きのうと同じように平七は、裏木戸のそばの馬小屋の前に蹲まって、有朋が自慢の長靴をせっせと磨いていたところだった。
それが機嫌をよくしたとみえて、有朋のとげとげしく長い細い顔が、珍らしく軟らいだ。
「おまえ、どうかすると馬鹿ではないかと思うときがあるが、使いようによっては、なかなか律義もんじゃな。