Classici giapponesi con furigana
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ろうじゅうのめがね
小笠原壱岐守
佐々木 味津三
Leggi 小笠原壱岐守 (ろうじゅうのめがね) di 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 57.249 caratteri · 115 schermate
隊長は、神代直人、副長格は小久保薫、それに市原小次郎、富田金丸、石井利惣太なぞといういずれも人を斬ることよりほかに能のないといったような、いのち知らずばかりだった。
狙ったとなったらまた、斬り損じるような五人ではない。兵器廠設置の敷地検分のために、わずかな衛兵を引きつれてこの京へ上っていた大村益次郎のあとを追い乍ら、はるばる五人はその首を狙いに来たのである。
「どうします。隊長。すぐに押し入りますか」
斬らぬうちから、もう血の匂いでもがしているとみえて、鼻のひしゃげた市原小次郎が、ひしゃげたその鼻をくんくんと犬のように鳴らし乍ら、隣りの神代の袖をそっと引いてささやいた。
「奴、晩酌をたのしむくせがありますから、酒の気の廻ったころを見計って襲うのも手でござりまするが、――もう少し容子を見まするか」
「左様……」
「左様という返事はありますまい。待つなら、待つ、斬りこむなら斬りこむように早く取り決めませぬと、嗅ぎつけられるかも知れませぬぞ」
「…………」
しかし、神代直人は、どうしたことか返事がなかった。――屋守のように塀板へ平みついて、じっと首を垂れ乍ら、ころころと足元の小石にいたずらをしていたが、突然クスクスと笑い出したかと思うと、吐き出すように言った。