Classici giapponesi con furigana
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ろうじゅうのめがね
小笠原壱岐守
佐々木 味津三
Leggi 小笠原壱岐守 (ろうじゅうのめがね) di 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 57.249 caratteri · 115 schermate
ジャブジャブと水を掻き分けて、河の真中の向うから、また一つ黒い影が近づいた。
富田金丸だった。
こやつも水の中へ、首までつかり乍ら、じっとすくんでいたとみえて、長い腰の物の鞘尻から、ぽたぽたと雫が垂れおちた。
「どうやら小久保と、利惣太がやられたらしいな。念のためじゃ、呼んでみろ」
「副長! ……」
「…………」
「石公! ……。利惣太……」
呼び乍ら探したが、しかし、どこからも水音さえあがらなかった。
銃声と一緒に、ころがり落ちたのは、やはりそのふたりだったのである。
「可哀そうに……。えりにえって小次と丸公とが生き残るとはなんのことじゃい。おまえたちこそ死ねばよかったのにのう。仕方がない、せめて髪の毛でも切って持っていってやりたいが、のそのそ出ていったら、まだちっと険呑じゃ。ともかく黒谷の巣へ引きあげよう」
先へ立って、河原伝いに歩きかけたその神代が、不意にあっと声をあげ乍らつんのめった。
「しまった! そういうおれもやられたぞ」
「隊長が! ――ど、ど、どこです! どの辺なんです!」
「足だ。左がしびれてずきずき痛い! しらべてみてくれ!」
夢中で知らずにいたが、屋根から逃げるときにでも一発うけたとみえて、左の踵からたらたらと血を噴いていたのである。