Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ろうじゅうのめがね

小笠原壱岐守

佐々木 味津三

Leggi 小笠原壱岐守 (ろうじゅうのめがね) di 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 57.249 caratteri · 115 schermate

Aozora Bunko

「どうしたんです。一体。――足の傷が痛むんですか」

「…………」

「傷が、その傷がお痛みになるんですか」

「決ってらあ」

「弱りましたね。手当をしたくも膏薬はなし、住職を起せば怪しまれるし、――酒があるんです。これで傷口を洗いましょうか」

「…………」

「よろしければ洗いますよ。もし膿を持つと厄介だからね。丸公、手伝え」

おもちゃをでも、いじくり廻すように足を引き出して、こびりついている血と泥を、ごしごしとむしりとった。

ぐいと、穴がのぞいた。

その穴へ、ふたりは、代る代る酒をぶっかけた。――身を切るほども、しみ痛い筈なのに、しかし直人は、痛そうな顔もせずに、ぼんやりと壁へ身をもたせたままだった。

なにかに、心をとられているらしいのである。――小次郎が、ひしゃげた鼻に、にやりと皺をよせて言った。

「あれだね。――この忙しい最中に、先生も飛んだものを嗅いだもんさ。今の女のあの匂いを思い出したんでしょう」

「…………」

「旦那よりほかに寝かしもしないふとんの中へ入れたんだ。紙ひと重の違いだが、因縁のつけようじゃ浮気をしたも同然なんだからね。そこを一本、おどしたら、あの女、物になるかも知れんです。