Classici giapponesi con furigana
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ろうじゅうのめがね
小笠原壱岐守
佐々木 味津三
Leggi 小笠原壱岐守 (ろうじゅうのめがね) di 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 57.249 caratteri · 115 schermate
すぐお乗り下さいまし!」
否やを言うひまもなかった。――せき立てるように駈けあがって、くるくると身のまわりのものを取りまとめると、金丸は、ひとりで心得乍ら、直人の身体をだきあげた。
しかし、同時に、小次郎もその金丸も、思わずあっと、おどろきの声をあげた。
五日の間に、すっかり踵の弾傷は悪化していたのだ。
しかもいち面に膿を持って、みるから痛そうに赤く腫れあがっていたのである。
「だから、手当々々とやかましく言うたんです。こんなになるまでほっとくとは呆れましたな。――お痛いですか」
「その腫れではたまらんでしょう。我慢出来ますか」
「駄々をこねるなという言いつけじゃ。駄々はこねん。気に入るように始末せい‥…」
まるで意志のない人のようだった。
さだめし、たえられぬほども痛いだろうと思われたのに、直人は、じっと金丸たちの腕にだかれたまま、身動きもしなかった。
六
しっとり暮れて、九月の秋の京の夕ぐれは、しみじみとしてわびしかった。
かわたれどきのその夕闇を縫い乍ら、落人たちは、シャン、シャンと鈴の音を忍ばせてすべり出るように京の町へ出ていった。