Classici giapponesi con furigana
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ろうじゅうのめがね
小笠原壱岐守
佐々木 味津三
Leggi 小笠原壱岐守 (ろうじゅうのめがね) di 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 57.249 caratteri · 115 schermate
「僅かに喃。酒はどうか。用いておるか」
「おりませぬ。寒げにしょんぼりとして、うどんだけ食している容子に厶ります」
「やはりここも次第に寂れが見ゆるな。ひと月前あたりは、毎晩のように七八人もの客が混み合っていたようじゃ。のう。山村。そうであったな」
「はっ。御意に厶ります。年前は大分酒もはずんで歌なぞも唄うておりましたが、明けてからこちら、めっきり寂れがひどうなったように厶ります。ゆうべもやはりひとりきりで厶りました」
「そう喃。――胸が詰って参った。もう迷わずにやはり決断せねばなるまいぞ、先へ行け」
濠ばた沿いに飯田町へ出て、小石川御門の方へ曲ろうとするところに、煮込みおでんと、鮨の屋台が二軒見えた。――しかしどちらの屋台もしいんと静まり返って、まことに寥々、客らしい客の姿もないのである。
「館!」
「はっ」
「そち今日、浅草へ参った筈よ喃」
「はっ。事の序にと存じまして、かえり道に両国河岸の模様もひと渡り見て参りまして厶ります」
「見世物なぞの容子はどんなであった」
「天保の饑饉の年ですらも、これ程のさびれ方ではなかったと、いち様に申しておりまして厶ります」
「不平の声は耳にせざったか」