Classici giapponesi con furigana
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ろうじゅうのめがね
小笠原壱岐守
佐々木 味津三
Leggi 小笠原壱岐守 (ろうじゅうのめがね) di 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 57.249 caratteri · 115 schermate
平七は、だまって自分の身体を見廻した。――なるほどその言葉の通り、皮膚のいろも、爪のいろまでが光沢を失って、ほんの昔、真紅の胴に白いろずくめのしぶきを切り乍ら、武者振りも勇しくこの大川を乗り切ったときの、あの目のさめるようなみずみずしさは、どこにも見えなかった。
「ふ、ふ、ふ、ふ……」
気のぬけたように笑うと、平七は、長々とした欠伸をやり乍ら、たるんだ声で言った。
「おまえさん、近ごろ、なにをしておいでじゃ」
「こっちで言いたい言葉じゃ、貴公、山県狂介のところで、下男のような居候のような真似をしておるとかいう話じゃが、まだいるのか」
「おるさ」
「見さげ果た奴じゃ。仮りにも旗本と言われたほどの幕臣が、讐同然な奴の米を貰うて喰って、骨なしにもほどがあると、みんなも憤慨していたぞ。――あんな奴のところにおったら面白いのか」
「とんと面白くない」
「なければ、そんなところ飛び出したらどうじゃ」
「かと言うて、世間とてもあんまり楽しくあるまい」
「張り合のないことを言う男じゃな。こんなところでなにをぼんやりしていたのじゃ」
「新聞社へネジ込んで来いと言うたんで、出て来たところさ」