Classici giapponesi con furigana
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しょうせつ えんちょう
小説 圓朝
正岡 容
Leggi 小説 圓朝 (しょうせつ えんちょう) di 正岡 容 (まさおかいるる) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 163.270 caratteri · 325 schermate
酔で赤くした笑顔の中に、ハッキリ真剣のいろが動いていた。
黙ってコクリと圓朝は肯いた。その通りだった、ほんとうに。弟子には裏切られ、日に夜におもって止まない師匠からは袖にされ、ホトホト圓朝はきょう落語家稼業というものがいやになり果ててしまっていたのだった。
「とおもったからあわてて大急ぎで俺やってきたんだ。危ねえ危ねえ」
ワザと大袈裟に身慄いして、
「オイ、いまお前さんにそんな了見になられてみねえ、せっかく立派に咲く桜の花一輪仇に散らしてしまわにゃならねえじゃねえか。鶴亀鶴亀、たのむぜ圓朝さん」
笑顔でお銚子を差し付けた。
ヘイとお辞儀しながら飲みのこしの冷えたやつをグイと干して、
「いえ」
自分がお銚子を奪うように並々と文楽の盃へ酌いでやると、
「でもあんまり……あんまりですから……」
黙ってうつむいてしまった。そのとき文楽が置酌ぎにしてくれたこちらの盃の中へ、ポッカリと自分の顔が映って悲しく揺れていた。
「あんまりじゃねえんだ」
キューッと盃の酒を呑み干して、また手酌で一杯酌いで文楽が、キッパリといった。
「へ」
「あんまりじゃねえんだよ」
もういっぺんまた文楽はいった、またキッパリと。