Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しょうねん

少年

芥川 竜之介

Leggi 少年 (しょうねん) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 15.225 caratteri · 31 schermate

Aozora Bunko

七歳の保吉は息もつかずに、テエブルの前へ及び腰になった主人の手もとを眺めている。綺麗に髪を左から分けた、妙に色の蒼白い主人の手もとを眺めている。時間はやっと三時頃であろう。玩具屋の外の硝子戸は一ぱいに当った日の光りの中に絶え間のない人通りを映している。が、玩具屋の店の中は――殊にこの玩具の空箱などを無造作に積み上げた店の隅は日の暮の薄暗さと変りはない。保吉はここへ来た時に何か気味悪さに近いものを感じた。しかし今は幻燈に――幻燈を映して見せる主人にあらゆる感情を忘れている。いや、彼の後ろに立った父の存在さえ忘れている。

「ランプを入れて頂きますと、あちらへああ月が出ますから、――」

やっと腰を起した主人は保吉と云うよりもむしろ父へ向うの白壁を指し示した。幻燈はその白壁の上へちょうど差渡し三尺ばかりの光りの円を描いている。柔かに黄ばんだ光りの円はなるほど月に似ているかも知れない。が、白壁の蜘蛛の巣や埃もそこだけはありありと目に見えている。

「こちらへこう画をさすのですな。」

かたりと云う音の聞えたと思うと、光りの円はいつのまにかぼんやりと何か映している。