Classici giapponesi con furigana
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やまへかえりゆくちち
山へ帰りゆく父
小川 未明
Leggi 山へ帰りゆく父 (やまへかえりゆくちち) di 小川 未明 (おがわみめい) in giapponese con furigana. JLPT N3. Tocca una parola per il significato.
N3 · intermedio · kanji e kana moderni · 7875 caratteri · 16 schermate
」と、いうように聞こえました。
夕焼けの空は、昔も、今も、この赤い、悲しい色に変わりがありません。父親は、夕焼けの空をながめました。
「よく、自分は、せがれの手を引いて、夕暮れ方、町から帰ったものだ。あの時分のせがれは、どんなに無邪気で、かわいらしかったか。あのせがれがいまでは、りっぱな人間になったのだ。私が、こんなに年をとったのも、無理はない……。」と、考えにふけったのでした。
そして、老人は、いよいよ山道にさしかかりますと、山の上は、まだ、ふもとよりは、もっと明るくて、ちょうが飛んでいました。
「いま、おじいさんお帰りですか?」と、いっているように、人なつかしげに、老人の身のまわりを飛んでいました。せみも、ひぐらしも、このとき、みんな声をそろえて鳴きたてました。
「よう帰っておいでなさいました。あなたのお山は、いつでも平和です。おじいさん、あなたは、いつまでもこのお山においでなさい。そして、けっして、ほかへゆくなどと思いなさいますな。」と、みんなしていっているように聞こえました。
おじいさんは、にこにこしていました。
「なんで、こんないいところを捨てて、他国へなどゆけるものか。