Classici giapponesi con furigana
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やぎひげへんしゅうちょう
山羊髯編輯長
夢野 久作
Leggi 山羊髯編輯長 (やぎひげへんしゅうちょう) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 51.441 caratteri · 102 schermate
その五六間先に、派手なハンチングを冠(かぶ)って、荒い格子縞の釣鐘(つりがね)マントを着た男が、やはり小急ぎしながら電車に乗りに行く恰好が眼に付いた。これが新聞記者特有の第六感というものであったろうか。それともその釣鐘マントが急ぐ速度と刑事が跟(つ)けて行く速度が似通っているせいであったろうか。その釣鐘マントの影に重たそうな風呂敷包を携(さ)げているのが見えた。結び目の隙間(すきま)から羊歯(しだ)の葉がハミ出しているところを見ると、果物の籠か何からしい。
吾輩は足を宙に飛ばした。満員になって動きかけているその電車の前の方から飛び乗った。うしろの方のステップには刑事がブラ下がっているから遠慮した訳だ。「モット中へ這入って下さい」と運転手から怒鳴られるまにまに吾輩はグングンと中の方へ身体(からだ)を押し込んだ。マン中の釣革にブラ下っている縞(しま)の釣鐘マントの横に身体を押し付けながら、素早くマントの裾をマクリ上げて、風呂敷包みの横の隙間から気付かれないように手を突込んでみた。
羊歯の葉が指の先に触った。それから柿……と思ううちに電車が駅前の交叉点のカーブを曲ったので車内が一斉にヨロヨロとよろめいた。