Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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やぎひげへんしゅうちょう

山羊髯編輯長

夢野 久作

Leggi 山羊髯編輯長 (やぎひげへんしゅうちょう) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 51.441 caratteri · 102 schermate

Aozora Bunko

ボーイが吾輩の顔を見てニヤニヤと笑いやがった。どうも貧乏をすると余計な処へ来て、余計な恥を掻(か)く……畜生。どうするか見やがれ……。

「ヘイ。お待遠さま。ホテルで御座います」

ボーイが開けた網戸から追い出されるように飛び出した吾輩は、久し振りに眼の醒(さ)めるようなサルーンに直面させられて、少なからず面喰らった。

けれどもその次の瞬間にはモット面喰らわせられる大事件が持上った。そのサルーンの一番手近い向う向きになっている長椅子の派手な毛緞子(ダマスク)の上からスックリと立上った艶麗、花を欺くような令嬢……だか化生(けしょう)の女だかわからない女が吾輩と直面した。しかも、その直面した白い顔がタッタ今追いかけて来た若い店員の顔だったのには肝を潰した。ちょっとトイレットに這入って、黒い外套と、雪駄(せった)と、鳥打帽を風呂敷に包み込んで、テニス靴を穿いて、白い粉をポカポカッとハタいて、棒紅をチョコチョコと嘗(な)めただけの芸当には違いないが、それにしてもアンマリ早過ぎる。況(いわ)んやそれを玄関番が見た時は店員で、エレベーターボーイが見た時は令嬢だったというんだから大胆といおうか不敵といおうか、唯々舌を捲かざるを得ない。