Classici giapponesi con furigana
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やぎひげへんしゅうちょう
山羊髯編輯長
夢野 久作
Leggi 山羊髯編輯長 (やぎひげへんしゅうちょう) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 51.441 caratteri · 102 schermate
モウ十一月というのに紺サージの合服と、汽車の中で拾った紅葉材(もみじざい)のステッキ一本フラットというんだから蟇口(がまぐち)の中味は説明に及ぶまい。タッタ今博多駅で赤い切符を駅員に渡したトタンに木から落ちた猿みたいな悲哀を感じて来た吾輩だ。三流か四流か知らないが、こんなボロ新聞社にでも押し込まなければ、押し込みどころのない身体(からだ)だ。
「ここを押……」と書いた白紙の下半分が「……して下さい」と一所(いっしょ)に切れ落ちている扉(ドア)を押すと、イキナリ販売兼、会計部らしい広間に這入った。しかし人間は一人も居ない。マン中の鉄火鉢の前に椅子を引き寄せた小使らしい禿頭(はげあたま)が、長閑(のどか)に煙草を燻(くゆ)らしているだけだ。
「きょうはお休みなんですか」
と少々面喰った顔で吾輩が尋ねると、禿頭(はげあたま)の小使が悠々と鉈豆煙管(なたまめぎせる)をハタイた。
「イイエ。販売部は正午(おひる)切りであすが……何か用であすな……」
と云い云い如何にも横柄(おうへい)な態度で、自分の背後の古ぼけたボンボン時計を見た。二時半をすこし廻わっている。少々心細くなって来た。