Classici giapponesi con furigana
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やぎひげへんしゅうちょう
山羊髯編輯長
夢野 久作
Leggi 山羊髯編輯長 (やぎひげへんしゅうちょう) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 51.441 caratteri · 102 schermate
その方が安島家にとってはいいのです。どうせ一度はここまで来る筈ですから……チット荒療治ですけど……ホホホ……」
「……イ……イケナイ。オ……俺には血もあれば……涙もあるんだ。あり過ぎるんだ……」
「オホホホホホ。ハハハハハハ……。血もあり涙もあり過ぎる方なら何故(なぜ)すぐに、あのヨリ子の処へ飛んで入らっしゃらないのですか。死にかけているのに……ネエ。そうでしょう。オホホ……」
二郎氏は立上って来た。素焼のように白い、剛(こ)わばった顔に、絶体絶命の血走った眼が二つ爛々と輝いている。
「……馬鹿……ソレどころじゃないんだ。安島家の名誉を守らなければ……」
「……白々しい。名誉を思う人が、どうして、あんな女に手をかけたんです。早くヨリ子の処へ行ってらっしゃい……何を愚図愚図……」
夫人に突き飛ばされて、よろめきながら二郎氏はポケットから一掴みの札束を出した。吾輩の鼻の先に突付けた。
「君は帰り給え。帰ってくれ給え。何でもない事だから……これを遣るから……サア……」
吾輩は後退(あとじさ)りをした。
「……僕は……乞食じゃありません」
「イヤ……わ……悪かった。この場だけはドウゾ……拝むから……」