Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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かわなみ

川波

久生 十蘭

Leggi 川波 (かわなみ) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 9022 caratteri · 18 schermate

Aozora Bunko

「ごいっしょで、よかったわ。安心したせいか、がっかりしちゃった」

豊川はうるさくなったらしく、

「そんな話、面白くないね」

と突っぱなすようにいうと、倫子は勝気らしいよく透る声で、

「戦争の話ですもの、面白いわけはないでしょう」

と笑いながらやりかえした。

「まあいいわ。飲みましょう、お別れの盃よ」

「別れもくそもあるか。英国へ帰るくらいで大騒ぎをすることはない。好きな亭主のところへ帰るんだろう」

「それは、あなたのようなゝとはちがうのよ。治兵衛さん、それで、あなたは?」

「君が船で行くなら、おれはシベリヤで行く。暑い中で、四十五日も世話をやいたうえ、バカ亭に誤解されでもしたら、立つ瀬がないからね」

三池の焼餅と早合点は有名なもので、巴里へ遊びに行った倫子の帰りが一日でも遅れると、クロイドンから旅客機で迎いに行くというはげしさだった。最近はいよいよ狂的になって、居もしない倫子のことで言いがかりをつけ、大使館の若い連中で、迷惑をしたのがだいぶ居るという噂だった。

「あなたなんか、宛にしているもんですか。和田さんがいっしょだから、平気よ」

「せっかくだが、急ぐから、豊川といっしょにシベリヤ廻りにするよ」