Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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こうせつきょうほうずえ

巷説享保図絵・つづれ烏羽玉

林 不忘

Leggi 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 365.120 caratteri · 728 schermate

Aozora Bunko

その視線は、逃げるように行く娘の足どりにからみついた。

「これこれ、お前は何というのかね」

庭木のむこうから、娘の白い顔が答えた。

「はい。美代と申します」

磯五は、うなずいて歩き出した。いま、樹のあいだに消えて行ったお美代のすがたが、網膜の底にのこっていた。お美代は、やせて、肩などまだ肉の乗らない、皮膚のいろのわるい娘むすめした女であった。しかしお美代の顔だちは、めずらしくととのったものであった。

磯五は、女の美醜を見さだめる点では、天才であった。石や瓦のなかから、つねに玉を発見するのであった。あのお美代は、化粧と着物によっては、立派に見られるものになると磯五は思った。何かの役に立つであろうから、そっと眼をつけていようと思った。

四

磯五が居間へはいって行くと、江戸紫というのに古代むらさきの染めを注文したお駒ちゃんが、京から届いてきたその布をぼんやりながめて、困ったようにすわっていたので、お駒ちゃんが磯五の妹であるというでたらめは、おせい様ばかりでなく、いまでは店の者のあいだにも、いいふらされていた。

磯五が上方から帰ってこの磯五の店を買いとったとき、江戸に残しておいた妹がおちぶれているのを見つけて、助け出して店へ入れたというのである。