Classici giapponesi con furigana
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こうせつきょうほうずえ
巷説享保図絵・つづれ烏羽玉
林 不忘
Leggi 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 365.120 caratteri · 728 schermate
湯上がり姿にゃ親でも惚れる
そうだ、違えねえ――。
あの女、あの女、紛れもねえ彼奴だ。顔にこれぞという眼じるしがないのも、一点非の打ちどころがなければこそで、ああ生きの好い江戸前の小魚が、そうざらにおよいでいるわけはない。
待てよ。眼じるしがないとはいわさぬ。
まなざし口もと、あれが何よりの人別ではないか。恋の諸分によくいうやつだが「眼も口ほどにものをいい」全くだ、あれは無情の石でも木でも草でも、眼に映る物なら何にでも色をしいている眼だ。あの女に見られた男は、誰でもただじろりやられただけで、ぞっと襟もとから恋風を引き込む。
そうだ、違えねえ。
あの女、あの女、紛れもねえあいつだ。
昨日の正午、藪の内まで用たしに行ったついでに、祭の景気を見に随身門から境内へはいって、裏手念仏堂から若宮稲荷へかけての人ごみの中を、あわよくば掏摸の一人も揚げるつもりでさんざほうつきまわった末、かねがね顔見識りの水茶屋嬉し野の床几へ腰を掛けると、儲け潮にうるさいやつが舞い込んだものと思ったらしく、
「おや、親分さん、ようこそお越しでござんした」
親分さん、と来た。そして、看板女のおきんに茶をくませて出したが、その湯呑の下に、案の条、二朱包んであった。