Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

こうせつきょうほうずえ

巷説享保図絵・つづれ烏羽玉

林 不忘

Leggi 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 365.120 caratteri · 728 schermate

Aozora Bunko

奴体に、出盛りの店頭をふさがれてはたまらないから、何にもいわずにわかってもらおうという袖の下だ。心得て立ち上がったとき、ちらと見たのがあの女である。

そこはこっちも八丁堀お箱持ちの端くれ、決してむだに歩いてはいない。こぼれがあったらいつでも拾う気でいるところへ、その女のことが、

「や! あれじゃないかしら?」

ぴいんと頭へ来たことがあるから、

「そこへ行くのは嬉し野のおきんさんじゃあねえか」

と一つ、時代にぶっつけておいて口裏を引いてみると、女は何にもいわずにまじまじとこっちの顔を見ていたが、そのうち捨て科白を残して逃げ出した。しかも女だてらに辻駕籠を飛ばして、神田連雀町の横丁で小器用に抜けやがった。

ううむ、違えねえ。

あれに相違ねえ。

――浮世小路から帰って来た御免安兵衛、雲母橋際の裏店に寝そべって、しきりに昨日のことを考えている。

二本の脚を柱へ突っかえて、あおむけのまま、黄色くなった畳のけばをむしっているのだが、さすがに戸外は春、破れ障子にも日影が映えて、瀬戸物町を往く定斎屋の金具の音が手に取るよう――春艶鳥の一声、あってもいい風情だ。

あの女は――と御免安、柄にもない物思いにふけりつづける。