Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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こうせつきょうほうずえ

巷説享保図絵・つづれ烏羽玉

林 不忘

Leggi 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 365.120 caratteri · 728 schermate

Aozora Bunko

お高は、人のいない空地に何かのうごきが眼にはいったので、そのまま磯屋の天水桶のかげにたちどまってそっちのほうを見た。

磯五が、誰か若い女と話しこんでいた。向こうからは磯屋の陽影になっていて見えないのだが、こっちからは、板と板の合わさっている角度によって、よく見えるのだ。磯五と女は、見ている者がないと安心して、抱き合わんばかりにからだを寄せて、何か熱心に話し合っては、声を殺して笑っているのである。

女は、芸者にしてはけばけばしい姿をしているが、どこか素人らしくないところの見えるのは、女歌舞伎の太夫ででもあろうかとお高は思った。黒い豊かな髪をきれいに取り上げた、すんなりと背の高い女だ。笑うたびに肩から腰を大ぎょうに波うたせて、色好みの男の玩弄にまかせてきたらしい、しなやかな胴である。

いやみったらしい女だと思うと、お高は、自分がひとのことを隙見しているのに気がついて、はっと気がとがめた。いやしいことだと思って、顔が赧くなった。が、いま動けば磯五に見つかると思って、足が釘づけになったようで動けなかった。かえって、どうにかして女の顔を見てやろうと思って、いろいろに角度を計って首をうごかしていた。