Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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こうせつきょうほうずえ

巷説享保図絵・つづれ烏羽玉

林 不忘

Leggi 巷説享保図絵・つづれ烏羽玉 (こうせつきょうほうずえ) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 365.120 caratteri · 728 schermate

Aozora Bunko

が、若松屋惣七の顔は、灰いろなのだ。折れ釘のかたちをした筋が、こめかみにうき出ている。うつろに近い眼が、空の一点をみつめて、口じりが、ぴくぴくとふるえているのだ。急な心痛がもち上がって、ふかい悩みに沈んでいることがわかるのだ。

お高は、磯五のことをはじめ、自分に関するすべてを、とっさに忘れた。どきん、と一つ、心臓が高い浪を打った。ぺたりとすわった。口がきけなかった。あのあの、と、ことばが舌にからんだ。

「いや、わたしとしたことが!」若松屋惣七は、お高の前に、一時、意気沮喪した自分を見せようとしたことを、恥じているに相違ない。自制を加えて、急にふんわりとした口調だ。

「いや、わたしのことなど、どうでもよいのだ。が人間は、えて身勝手なものである。けさお前が、磯屋さんとつれ立って出て行ってから、わしはもう二度とお前を見ることはあるまいと思っておった。見とうもないと思っておった――のだが、しかし、そうして帰ってくると、わしも、ついよく帰ったといいたくなるよ。あはは」

お高は、たたみに手をついて、いざり寄った。

「旦那様、若松屋が、あなたさまが身代限りをなすったというのは、それはいったいどういうことでございますか。