Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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いちろうのみせ

市郎の店

豊島 与志雄

Leggi 市郎の店 (いちろうのみせ) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4067 caratteri · 9 schermate

Aozora Bunko

お母さんが病気で、よそのおばさんにまかせっきりだから……。」

「監督……はよかったね。まあ、なんにしても、結構だ。僕は君の友だちから聞いて、感心したよ。夜店にまで出る勇気があるのは、立派なことだ。」

「人が何といおうと平気ですが、でも……。」

「何だね。」

市郎は、やさしい山川さんの笑顔を見て、貝殻が少しも売れないことの不平をうちあけました。

それを話しているうちに、なんだか情けなくなってきました。

「おばさんにも笑われるし、お母さんも……笑ってるようです。困っちゃった……。」

山川さんは暫く黙って考えていました。そしていいました。

「その貝殻は、よく磨いたかね。」

「ええ、ぴかぴか光ってるんですよ。」

「うーむ、そりゃあそうだろうが、しかし、ただ並べただけではだめだね。」

そして山川さんはまた暫く考えていましたが、急に眼を輝かしていいました。

「よいことを教えてやろう。貝殻を並べておいて、そのわきで本なんか読んでいては、売れないね。こうするんだ。まず幾つか、よく磨いたのを並べておいて、少しでいいんだよ、そして、そこに君は腰掛けて、入れ物の中からほかの貝殻を一つ取って、せっせと拭いたり磨いたりするんだ。