Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ひらがげんないとりものちょう

平賀源内捕物帳

久生 十蘭

Leggi 平賀源内捕物帳 (ひらがげんないとりものちょう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.367 caratteri · 36 schermate

Aozora Bunko

いま読んでやるから」

生きている人間に言いかけるようにそう言って置いて、油団の上に膝をつき、その下から四つに折った小さな紙片を引出した。

懐帳面の紙を引裂いたのらしく、丈夫な三椏紙で、たぶん血であろう、端の方にべッとりと赤黝い汚点がついている。

わたしを殺した者は、長崎、古川町に住む、唐通詞陳東海と申す者にて候、七月十五日手前家内お種との古き因縁事に就き、是非共談合、埒を明け度き事有之につき庭窪の蘇州庵迄出向くようとの書状を受け、捨置き難き事に候間申越せし儘其処へ出向き候、蘇州庵に着き候頃は早や五ツ半にて、月の光を頼りに唐館の奥へ進み行き候処、此部屋より燈火が漏るるに依り、戸を引開け候に如何なる次第なるや、戸口のところに陳東海が朱房の附きたる匕首を振翳して立ちはだかり居るなれば、余りの理不尽に手前も嚇怒致し、何をすると叫びながら組付行くに、その煽りにて蝋燭の火は吹消え、真の闇となり、皆目見当も附かぬ事なれば壁際に難を避けんとする処、陳は手前の背後より抱付きて匕首を突刺し其儘何処へか逃去申候、たいへんなる痛手にて最早余命幾許も無之と存候、この様なる所にて犬畜生同様名も知れぬ屍を曝すこと如何にも口惜しく候儘、息のあるうちに月の光を頼りに一筆書残し申候、右に認めし條々実証也