Classici giapponesi con furigana
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ひらがげんないとりものちょう
平賀源内捕物帳
久生 十蘭
Leggi 平賀源内捕物帳 (ひらがげんないとりものちょう) di 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 18.367 caratteri · 36 schermate
どう考えても有りようもないことだが、江戸ではお鳥がはッきりと陳東海だったと言い、利七の方も、紛れもなく陳東海だときッぱりと書残している。死ぬ間際に益もない作りごとをする筈もないのだから、二人の申立は事実だと信ずるほかはない。
理窟から言うと、そんな馬鹿なことが、と頭からけなしつけることも出来るが、そうとばかり簡単に片附けられぬ節もある。えらそうには言って見るが宇宙の輪廻の中では人間の智慧などはどの道多寡の知れたもので、世の中には理外の理というものがあって、一見、どうしても不可能としか見えぬことも、方法を以てすれば実に造作なくやって退けられるのかも知れぬ。
あの日以来、七日の間、先生は暇さえあれば津国屋の離座敷で腕組をして考えていたが、今度ばかりはどうしても事件の核心を衝くことが出来ない。こんなところで何時までも首を捻っていたッてどうにもならないことなので、長崎迄の船の中でとッくり考えようと肚を決め、未解決のまま利七の骨箱を抱いて九月四日に津港から長崎行の便船に乗込んだ。
冬とちがって風待や凪待もなく、二百里の海上を十一日で乗切り、九月十七日の朝、長崎に到着した。