Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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まぼろしのかなた

幻の彼方

豊島 与志雄

Leggi 幻の彼方 (まぼろしのかなた) di 豊島 与志雄 (とよしまよしお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 41.763 caratteri · 84 schermate

Aozora Bunko

胸部の聴診の時に、以前呼吸器の病気をしたことはないかと聞かれた。肺尖加答児をやったことがあったね、と順造は秋子に尋ねた。秋子は首肯いた。然しその時もう医学士は、腹部の診察にかかっていた。産婆が側についていてくれた。子宮の内診の時に、順造は座を外した。

診察が済んで、女中が茶を持ってゆく時、順造はまたその室に戻った。

「病名は今の所まだはっきりしませんが……明日まで経過をみたら大抵確定するつもりです。」と医学士は云った。「然し熱が高い間は、兎に角授乳は控えといたが宜しいでしょう。」

明朝までに便を少量届けてほしいと頼んで医学士は帰っていった。

産褥熱! 非常に恐ろしい病気のように聞いていたその名が、順造の頭に閃いた。彼はそっと産婆に尋ねた。産婆はそうらしくはないと答えた。それでは窒扶斯かも知れなかった。然しそれを産婆は一層はっきりと否定した。けれど彼女にも結局分らないらしかった。

女中が牛乳と薬とを取りに行ってる間、産婆は残っていてくれた。

腹痛が不規則に襲ってきた。秋子はもう身を※(「足へん+宛」、第3水準1-92-36)きはしなかったが、眉根に深い皺を寄せ歯をくいしばってるので、それと知られた。