Classici giapponesi con furigana
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ひかげのまち
幻の探偵雑誌5 「探偵文藝」傑作選
松本 泰
Leggi 幻の探偵雑誌5 「探偵文藝」傑作選 (ひかげのまち) di 松本 泰 (まつもとたい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 52.797 caratteri · 107 schermate
ナタールのダアバン市で撮ったもので、裏面に親愛なるマキシム嬢へ、モニカよりと記してあった。
「モニカ、モニカ、何という優しい名前であろう」私は初めて知った彼女の名前を繰返した。
私がその部屋にとどまっていたのは非常に長い間のように感じたが、実はごく短時間であったかも知れない。そうしているうちに、私は他人の部屋にいる事が耐らなく不安になってきた。私は手にもった写真を幾度かポケットに入れようとしたが、思切って元の抽出しに投込んだまま、廊下へ飛出した。
せかせかと呼吸をきって三階まで下りてくると、階段の湾曲のところで下から馳上ってくる絹擦れの音をきいて驚いて足を停めた。どうして婦人が昇降機によらずに裏階段を馳上ってくるのであろうと不思議に思った。それよりも、もっと驚いた事は夢にも忘れた事のない美しいモニカが、私の眼前に現われた事である。
「まア!」モニカの唇から微かに驚愕の叫びが洩れた。
「矢張り、僕を臆えていて下すったのですか」私はすっかりあがってしまって、しどろもどろにいった。
「いつぞやの事はどうぞお許し下さいませ。止むを得ない事情があって、あんな事になったのでございますから……貴郎はここへ何しにいらっしたのですの。