Classici giapponesi con furigana
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ひかげのまち
幻の探偵雑誌5 「探偵文藝」傑作選
松本 泰
Leggi 幻の探偵雑誌5 「探偵文藝」傑作選 (ひかげのまち) di 松本 泰 (まつもとたい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 52.797 caratteri · 107 schermate
「どうぞ左様して下さい。小父さんなら必っと何とかして下さると思います。母さんは本統にお可哀そうなのです」
ビアトレスは一年一年と年をとってゆく母の淋しい様子を思浮べて、大きな眼に涙を浮べた。坂口も何をいう術もなく黙込んで、兎もすれば誘込まれそうな泪を、じっと耐えていた。そして何にもない窓の上部に目をやっていたが、それから霎時して故意と元気よく別を告げて、ビアトレスの家を出た。
三
ビアトレスは坂口を玄関まで送って、再び居間へ戻ると、突然けたたましくホールの電話が鳴出した。生憎女中が買物に出た不在であったから、ビアトレスが電話口に出た。
先方の男は叮寧な言葉でいった。
「私はコックス夫人から御伝言を頼まれたものですが、お嬢様に鳥渡電話口まで出て頂きたいのです」
「私が娘のビアトレスです。貴郎は何誰?」
「ハイ、私はパーク旅館の給仕ですが、コックス夫人と林様がこちらで食事をなさるから、貴方様も直ぐいらっしゃるようにと申す事でございます」
「何ですって? 母さんと林さんが何処に居ると仰有るのですか」
「こちらは旅館にお滞在になっている日本の紳士で近藤様と仰有る方とお三人でございます」