Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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げんじゅつてんまたろう

幻術天魔太郎

野村 胡堂

Leggi 幻術天魔太郎 (げんじゅつてんまたろう) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 45.616 caratteri · 90 schermate

Aozora Bunko

あのままほっておけば、死罪になるか牢死するか、いずれは助からぬいのちだろう」

「それを、どうしてお師匠さまが?」

「山をくだると、たいへんな評判だよ。泉田筑後はこのふもとの生れだ。私はともかくも、おまえたち兄妹に引合せるために、ひとり思いなやんでいる娘のお千代を、ここまで呼びよせたのだ。お千代は蝶にさそわれたり、野良犬に追われたり、江戸から丹沢山まで、なんにもしらずにやってきたのだ」

そういううちに、お千代は、月子にむかえられて、夢のなかをたどるように、フラフラとこっちへちかづいてくるのです。

「お千代さん」

天魔太郎は、おもわず縁がわをとびおりて、妹の月子と、泉田筑後のむすめお千代をむかえました。

スミレも、タンポポ、ヒナギクも、広場いっぱいに咲きほこるなかに、ふたりの少女とひとりの少年が、おもわず手をとり合って、ふしぎなめぐり合いに、しばらくは泣きぬれております。

「よし、あれでよし、あとは太郎と月子がぞんぶんにやってゆくだろう」

これをながめた心外道人は、このうつくしい情景をあとに、旅仕度もせずに、ひょうぜんとして山の庵を立ちさるのでした。

泉田一家の災難