Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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げんじゅつてんまたろう

幻術天魔太郎

野村 胡堂

Leggi 幻術天魔太郎 (げんじゅつてんまたろう) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 45.616 caratteri · 90 schermate

Aozora Bunko

野州の熊五郎は、あたりの闇をはばかりながら、ささやくのでした。

増田屋の奥座敷、中老出雲を中心に、主人庄兵衛はじめ、おもだった親類の男女七人、半円をえがいてつめよりました。

出雲というのは、ごてんでよばれたなまえで、本名はお筆、三十前後のそれはりっぱな女でした。増田屋の主人庄兵衛の先妻の妹で、母はわかいころ駿河大納言の奥方につかえたことがあり、その縁故で天魔太郎のおいたちも知っており、宿さがりのときには天魔太郎と月子にもあって、問わるるままに、千代田の大奥のことも、なんの気もなくもらしていたのです。

「どうだお筆さん、――駿河大納言さまのわすれ形見の太郎とやらが、お城に忍びこんで、おそれ多くも上様の首をねらったとやら、その手引はおまえさんだといううたがいで宿へさげられたが、こう多勢の役人にみはられていては、増田屋も商売はできず、そのうえ、あすにもご沙汰があると、おまえは首を切られたうえ、つながるえにしで、増田屋もとりつぶしか所ばらい、長くつづいたこの店もおまえの不心得でそれっきりだ」

主人の庄兵衛にまくしたてられて、

「あいすみません、私はそんなことになろうとは、少しも気がつかなかったのです」