Classici giapponesi con furigana
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げんじゅつてんまたろう
幻術天魔太郎
野村 胡堂
Leggi 幻術天魔太郎 (げんじゅつてんまたろう) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 45.616 caratteri · 90 schermate
「おのおの、ご用心召され、今夜はことのほかぶっそうでござるぞッ」
松平伊豆守が、おともの諸士にげんじゅうに注意をしてあるくと、そのあとから、ポッポと全身一団の火焔となってもえ立つ小ネコほどの火ネズミが、廊下をはしり、長押をわたり、幕のすそをぬってゆくと、城中はたちまち火の海となって、おっとり刀の近侍の武士たち、その火ネズミに追われて、右往左往ににげまどいますが、ふしぎなことに、そのほのおは、近よってもあつからず、さわってもやけず、さながらうつし絵としょうする幻灯で、部屋いっぱいにほのおの映像をはしらせているようなぐあいです。
そのさわぎの中を、こんらんする人波をわけて、天魔太郎と猫間犬丸のふたり、もはやすがたも顔もむきだしのまま家光を追って奥の奥、城中にとくに用意された秘密の部屋にとびこみました。
唐紙をあけてきっと見ると、一本灯心のほのぐらい燭台の下に、しずかに黙祷する人かげ、部屋のなかは、プーンと沈香をたきこめて、大そうどうの城中によどんだような一角のふしぎなしずけさです。
「おのれ、家光、おぼえたか! かくもうすは駿河大納言忠長の一子、駿河太郎」