Classici giapponesi con furigana
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ようねんじだい
幼年時代・晩夏
堀 辰雄
Leggi 幼年時代・晩夏 (ようねんじだい) di 堀 辰雄 (ほりたつお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 85.965 caratteri · 169 schermate
そうしてしまいには私はどうしてもそれを自分でも見ずにはすまされない程になって、数日前からそれを誰にも云わずにこっそりと見にいく約束をし合っていたのだった。
が、それは小さな私達にはすこしばかり冒険すぎた。近道をしようとして、私達があとさきの考えもなく飛び込んでいったところは、あちらこちらに自然に水溜りが出来ているような湿地にちかいものだった。が、そういう水溜りをあっちへ避けこっちへ避けながら歩いていると、いくら行っても、依然として遠くに見えている、その魔法のかかったような工場の方へ、私達がだんだん心細くなりながら、それでもどうにかこうにか漸っと近づき出したときは、――それまでそうやって私達を殆ど向う見ずに歩かせていたところの、私達の裡の何物かへのはげしい好奇心そのものはもうどこかへ行ってしまっていた。それほど、そうやって歩いていることだけに小さな私達は全力を出し尽してしまっていたのだ。
やっとのことで私達はその大きな硝子工場の前まで辿りついた。私は急にいじけて、たかちゃんのあとへ小さくなって附いていった。やがて、遠くから見るとその内側が一めんに火だらけになって見えるような作業場の中から、てかてか光るような菜っ葉服をきた、彼女の父親らしいものが姿をあらわした。