Classici giapponesi con furigana
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ようねんじだい
幼年時代・晩夏
堀 辰雄
Leggi 幼年時代・晩夏 (ようねんじだい) di 堀 辰雄 (ほりたつお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 85.965 caratteri · 169 schermate
そうして、ふと、昔、自分が十ぐらいで、この娘がまだ十三四でこの家に養女分でいた時分、ただもうこの年上の娘をいじめるのが面白くっていじめたりしていた時のような、子供らしい残酷な心もちが、現在の自分の心のうちにも蘇って来るように感ずる。なんでもないことに腹を立てて、この年上の娘を撲ったり、足蹴にしたりしたが、娘の方では一度も自分にはむかって来ようとはしない。ただ、少年にされるがままになっている。そこに他の者が居合わせても別に留めようともしない。少年はしまいには、ただ面白ずくでそんな風に娘をいじめるようになっていた。……ところが、一度、どうしたのか娘は顔を真青にして、いきなり少年にむしゃぶりついてきた。少年はびっくりして、それっきりもう娘に手出しをしなくなった。……娘がそのおばさんの家を最初に飛び出したのは、それから間もないことであった。……
そんな風にやっと二人が打ち解けて話し合いだした時分に、がらりと格子のあく音がした。二人がふりむいて見ると、それは弘の母であった。
「おや、照ちゃんもいたのかい?」
少年は自分の母を見ると、長火鉢からすこし居退るようにして、障子に出来るだけぴったりと体を押しつけるようにしている。