Classici giapponesi con furigana
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ゆうれいとスクリュウ
幽霊と推進機
夢野 久作
Leggi 幽霊と推進機 (ゆうれいとスクリュウ) di 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 11.905 caratteri · 24 schermate
船室の扉が半開きになっている蔭から、水夫長の巨大な身体がウツムケに投げ出されている。襯衣の上のズボン釣りを片っ方外して、右手は扉の下の角を、左手は真鍮張りの敷居をシッカリと掴みながらビクビクと藻掻いているようである。ランプが点いていないせいか、顔と手の色が土のように青黒い。
私より先に立っていた二人の運転手が、同時にタジタジとよろめいた。船が揺れたせいではなかった。同時に水夫長がウームと唸った。
私はイキナリ駈け寄って抱き起そうとしたが、まだ水夫長の身体に触れないうちに、思いがけない二人の人間が、水夫長の足の処に立っているのを発見したので、ビックリしながら手を引いた。その二人の背後からは、夕映えの窓明りがピカピカとさし込んでいたが、それでも二人の服装が、細かい処まで青白くハッキリと見えたから不思議であった。
それはツイ一時間ばかり前に、二重の麻袋に入れて、松脂やタールでコチンコチンに塗り固めて、大きな銑鉄の錘を付けて、確かに海の底へ沈めた筈の二人の水夫に違いなかった。
青い夏服をキチンと着た二人の姿は、消毒された時と一分一厘違ってはいなかった。