Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ゆうれいせんのひみつ

幽霊船の秘密

海野 十三

Leggi 幽霊船の秘密 (ゆうれいせんのひみつ) di 海野 十三 (うんのじゅうざ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 30.846 caratteri · 62 schermate

Aozora Bunko

船長は、ボートのうえに望遠鏡をはなさない。その傍にいる無電局長の古谷が気がついたときは、望遠鏡を握る佐伯船長の腕が、なぜかぶるぶると慄えていたのであった。

「船長、ボートの中になにが見えます?」

「うむ」

佐伯船長は、望遠鏡を眼からひき離すように下ろして、ほっと溜息をついた。それはまるで悪夢からさめた人のようであった。船長は、なにかしらないが、ボートの中に思いがけないものを発見したらしいのである。

「船長、なにが見えましたか」

局長にさいそくされて、船長は、いまはもう仕方がないとあきらめたように、

「おう、皆よく聞け。わしは望遠鏡をとって、あそこに漂流する二号艇ボートを仔細に見たのだ。ところが、前にわしはボートのうえに櫂もなければ、人影もないといったが、いまよく見てみると、ボートの中は、全然空っぽではなかった」

船長は、わざとまわりくどいいい方をしているようであった。

「で、なにが二号艇内に見えるのですか。船長、はやくいってください」

「血だ、血だ! 二号艇のなかは、血だらけなんだ」

「えっ!」

船員たちはおどろきのあまり、思わず櫂の手をゆるめた。ボートは、ぐぐっと傾き、いまにもひっくりかえりそうになった。